AIを活用できない医師は、AIを活用する医師に置き換えられる。

郭志峰博士：AIは医師を代替しないが、AIを活用できない医師は置き換えられるでしょうね。
台湾区電機電子工業同業公会（TEEMA）の智慧医療健康科技委員会委員であり、Biomedicaの戦略責任者である郭志峰博士は、初期の智慧医療に対する誤解について言及しました。彼は、「初期の智慧医療は、多くの人々に医師を代替するものと誤解され、医師からの反発を招き、実際には実現困難であったため、推進が非常に難しかった」と述べています。
しかし、現在では「AIは医師を代替しないが、AIを活用できない医師は、AIを活用する医師に取って代わられる」という認識が広まりつつあります。

技術から市場へ：CEOはビジネスモデルへの洞察を強化すべき
郭博士は、智慧医療分野の新興企業を長年支援してきた経験から、多くのCEOが工学や医学のバックグラウンドを持ち、技術や製品に注力する傾向があると指摘しています。しかし、世界的に智慧医療産業が急速に成長する中、経営者は市場への洞察を深め、ビジネスモデルに対する関心を高める必要があると述べています。

精密医療には技術支援によるソリューションが必要
智慧医療産業のビジネスモデルについて、郭博士は情報通信産業の四段階発展モデル（技術、製品、ソリューション、サービス供給）を参考にすることを提案しています。「台湾の強みは技術と製品の製造にありますが、智慧医療産業はソリューションへの転換を目指すべきです」と述べています。

例えば、Biomedicaは女性の健康に注目し、骨粗鬆症のAI支援スクリーニングを開発しました。従来のDEXA検査は時間がかかり、結果もすぐには得られませんでしたが、BiomedicaX線撮影回診車を活用し、わずか6秒で骨粗鬆症リスクレポートを提供することで、医師の判断を支援しております。

また、次世代シーケンシング（NGS）技術を用いた胎児健康ソリューションにも注目しています。従来の侵襲的な検査方法に代わり、画像診断と遺伝子検査技術を組み合わせることで、正確性を大幅に向上させ、より良い治療法を見つけることが可能になります。

遺伝子検査と大規模データ分析の重要性
2024年5月から、台湾の健康保険署は遺伝子シーケンシングを補助する予定であり、癌の精密医療において「コンパニオン診断」が重要になると郭博士は述べています。これは医師や患者にとって有益であり、医療費の節約にもつながります。

さらに、台湾の多くの産業がハードウェアに偏っている中、智慧医療の爆発的な成長はソフトウェア主導で進むと予測されています。AI技術の導入により、大規模データ分析は分析時間を短縮し、結果の精度を高めることができます。特に精密医療では、大規模データ分析技術が不可欠です。

情報通信産業の経験を活かし、智慧医療のビジネスチャンスを創出
郭博士は、情報通信産業が経験した「標準化、可視化、規模経済化」のプロセスが、医療界にとって参考になると述べています。「情報通信産業と医療産業の連携を促進し、次の国家的な成功事例を創出するためには、台湾の情報通信産業の強みを活用すべきです」と述べています。

智慧医療産業は、医薬品、医療機器、医療サービス（院内および院外）に分かれます。大型の医療機器や医薬品は海外の大手ブランドが独占していますが、小型の医療機器やソフトウェア分析、画像診断、遺伝子シーケンシング、リアルワールドデータベースなどのAI分野は、台湾企業が得意とする領域です。

「智慧医療産業は、まず産業的な思考を持ち、医療応用だけでなく、法規制の推進、支払い制度、政府や病院の主導による海外市場の開拓など、台湾がこの爆発的な成長期を捉えるための鍵となる要素を考慮すべきです」と郭博士は述べています。

出典： 《電電時代》 NO. 196 2024年4月号